カテゴリ:読書( 135 )

Rules of Civility


Rules of Civility

Amor Towles/Sceptre

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中年の夫婦が、美術館で展覧会を観ている。

戦前に有名な写真家が隠れカメラで撮影した
電車に乗っている人々の写真の展覧会だ。


ある写真の前で妻の方が立ち止まり

「ティンカー・グレイだわ。」

やせすぎで、薄汚れた顔をして
ぼろぼろのコートを着ている男性の姿がそこにあった。

彼の目は生き生きとしていて
口元にはかすかな微笑みが浮かんでいる。

夫に、昔の知り合いだったけれど、
もう長年噂話も聞いたことがないと説明して
彼等は足を進める。

別の場所に今度は、いかにも裕福な格好をした
同じ人物の写真があった。

夫にそう言うと、全然別人に見えると驚く。

良かった、彼は立ち直ったんだねと
ほっとしたように夫は言う。


妻は、違うのよ。
これは、前の写真なの。


それ以上夫に説明しなかったのは、
隠す必要があったからではなく、
ただ、若い頃の思い出を話してしまうと
薄れてしまうような気がしたから。




「ティファニーで朝食を」を彷彿させるような
素敵な小説でした。


愛してますついているうれしい楽しい感謝しますしあわせありがとうゆるしますごめんなさい許して下さい美味しい〜
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by starofay | 2016-08-31 09:05 | 読書 | Comments(3)

Katherine Carlyle

Katherine Carlyle

Rupert Thomson / Corsair



図書館の新書のセクションで
適当に選んできた本ですが、
これは結構面白かったです。

まだ子供の頃に母親を亡くしたキットは、
ローマで父親と二人暮らしの19歳。

でも父親は、レポーターで
いつも海外の戦地を飛び回っている。

大変な美人で、多くの男性から思いを寄せられていても
頭が良くて、オックスフォードに進学が決まっていても、
彼女は、満たされていない。


体外受精で生まれた自分。

8年間も胚として冷凍庫で保存されていたらしい命。


父親から本当は愛されていない。
きっと母親の病死も自分の責任だと思われている。



彼女は行方不明になることにする。


映画館で前の席に座っているカップルが
彼等のベルリンの知り合いの男性の恋人が
あの素敵なアパートメントから出て行ってしまったらしいと
うわさ話をしているのを聞き、
彼の名前と住んでいる街路の名前を頭に刻み、
ベルリン行きの飛行機に乗る。

ベルリンでは、その街路に並ぶアパートメントの
ブザーの横にある名前をチェックし、
恋人に去られた男性を見つけ、
尾行し、声をかけ、友達になり、
アパートメントに泊めてもらうことに成功する。

そんなふうにして彼女は全くの偶然だけをたよりに
人から人へ、
国から国へと
優秀なレポーターである父親にも見つからないような
辺鄙で、北極熊が辺りを徘徊する
寒い離島にたどり着く。

そこで彼女は冬を越すことにしたのだ。


8年間冷凍庫で保存された命の始まりを
やり直すように。


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by starofay | 2016-07-25 19:41 | 読書 | Comments(3)

一刀斎夢録

合本 一刀斎夢録【文春e-Books】

浅田次郎 / 文藝春秋



大分前に父が送ってくれた本を
やっと先週手に取って読み始め、
メルボルンで読み終わりました。

新撰組幹部であった斉藤一の話です。



本当に二日前に読み終えたばかりなので
頭の中では、斉藤一という人物の印象が
まだ強く新鮮に残っているところに、


今朝ハフィントンポストを読んでいると、


出ました!

⬆️ クリックするとハフィントンポストの記事と写真が開きます



本当にもうびっくり!



私って読書に関する偶然が結構あるのですが、
これもちょっと鳥肌ものでした。


小説ですから、本物の斉藤一氏とは全く違う
想像の人物でしかないのでしょう。

それでもある程度は実際に起こった出来事に基づいているはず。

今度はまた別な人が書いた幕末の小説を通して
斉藤一を始め、他の新撰組の組員達を見てみたいと思いました。



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by starofay | 2016-07-16 15:37 | 読書 | Comments(5)

羊と鋼の森

羊と鋼の森

宮下 奈都 / 文藝春秋




ちょうど日本に行っている間に本屋大賞を受賞し、
話題になっていた本を買ってきました。

新刊は高いし、ハードバックの本は
こちらへ持って帰るのに重いので
文庫が出るまで待とうかと思ったのですが、
ピアノの調律師のお話だなんて、、、

待てない。


子供の頃からピアノの蓋を開けて
中身を見るのが好きでした。

考えられないほど複雑で巧妙でいて
整然としていて美しい。


そんなピアノの調律ができる人は
ものすごく難しくて素晴らしいスキルを
持っているに違いないと思ったものです。


この本には、数人の調律師達とピアニストが登場します。


高校生の時に初めてピアノの調律師の仕事を見てから
それまでピアノや音楽などに全く無縁だった青年が
調律師になる道に進みます。


専門学校へ通い、調律師の資格をとった青年は、
やがて故郷から近い街で就職する。

彼は自分に自信もないし、
特技もない。

新米として訓練を重ねながら
なんとか良い調律師になりたいと頑張っている。


そんな彼は、調律の仕事のために
ある高校生双子姉妹の家に通うようになる。

姉妹は、二人ともかなり上手なピアニストだが、
どちらかというと妹のピアノの方が華がある。

だけど、彼は姉の和音のピアノを聞いた時に
鳥肌が立ったのだった。

少しずつ腕を磨けば磨く程
調律の奥の深さを知るようになる。



ピアノと読書が好きな人にはたまらない
とっておきのごちそうみたいな本でした。



日本に住んでいた子供の頃は、
うちにピアノがあり、
こちらに父の転勤で来てからも
ピアノを買ってもらい、
ずっと身近にピアノがある生活をしてきました。


でもシドニーのフラット(アパート)に住んでいる時に
調律師に薦められて(!)電子ピアノを買いました。

毎年調律しなくてもすむし、
夜練習する時は、ヘッドフォンをすれば
近所迷惑にならないし、
引っ越しの時も本物のピアノよりは軽いから
いろんな面で便利です。


でも、いつかまた本物のピアノが欲しい。


それが私の夢です。


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by starofay | 2016-06-02 17:54 | 読書 | Comments(4)

My Brilliant Friend

My Brilliant Friend: Neapolitan Novels, Book One

Elena Ferrante / Europa Editions




今世界の文学界で話題になっており、
私の周りで読んだ人全員が絶賛するイタリアの小説。

図書館での順番待ちもすごいことになっており、
とうとう買ってしまいました。

町で一番のお金持ちがようやくテレビを買えるようになった時代の
ナポリの労働階級者が住む一角で、
二人の少女が友達になる。

My Brilliant Friendは、三部作の一作目で、
リラが16歳で町一番の金持ちと結婚するまでの二人の少女期。

ブロンドで可愛いくて学校の成績の良いエレーナと
野性的で攻撃的で、頭がずば抜けて良いリラ。

二人の友情は、深く濃いが、
お互いに嫉妬の対象でもある複雑な関係だ。

この第一作目は、これから一悶着ありそうだという
不吉な予感とともに終わります。

非常に面白くて引き込まれたのですが、
二作目を読むのが怖いです。笑


作家のエレーナ フェランテという名はペンネームで、
作家が誰なのか知っているのは出版社のみ。

英語に訳した翻訳者も作家に会った事もなければ
名前も知らないという謎に包まれた人物であります。

考えてみればイタリア語が原作な小説なんて
あまり読んだ事がありません。

きっと滅多に英訳(和訳)されないだけで、
面白い小説が沢山あるのでしょうね。

これだけ海外で売れているので、
日本語版が出るのも時間の問題だと思いますよ。

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by starofay | 2016-05-13 06:53 | 読書 | Comments(5)

The Dirty Life

The Dirty Life

Kristin Kimball / Scribner



食べることも愛することも、耕すことから始まる ---脱ニューヨーカーのとんでもなく汚くて、ありえないほど美味しい生活

クリスティン・キンボール / 河出書房新社




次回のブッククラブのために読んだ本です。

ハーバード大学卒で、ニューヨークで
フリーランスのライターをしている女性が、
オーガニック農場の記事を書くために
ペンシルベニア州の農家に取材に行き、
そこでファーマーとしてのライフスタイルと
カリスマ性のあるファーマーと出会ってしまいます。

数ヶ月後には、ニューヨークのアパートメントを引き払って
二人で理想の農場を求めて田舎に引っ越し、
やがて荒れ放題になっている500エーカーの農場をまかされます。


都会的なオシャレ、インテリな友人達
近くに住んでいる親しい姉、
今までの生活を捨てて、得たものは

オンボロの家に、寒い冬に、泥に動物の糞に血に
朝4時に始まる乳搾りから日が暮れるまでの肉体労働。


頭が良い人は、大卒で都会で刺激的な仕事をし、
田舎のファーマーは、それほど頭が良くないし、
退屈な生活をしているに違いないと思っていた彼女にとって
新人ファーマーとしての仕事は、
思いがけず難しく、いろんな知識を必要とし、
冒険に満ちたものでもありました。


そんな彼女が泥だらけの人生に抵抗しながらも
少しずつファーマーとして目覚めて行く様子が
生き生きと描かれています。

10年以上経った今もEssex Farmでは、
牛乳、卵、牛、羊に豚肉、
50種類の野菜に小麦にメープルシロップまで
アメリカの食生活に必要な大方のものを
一年を通して会員に提供しています。

全てオーガニックで、トラクターの力を借りる事もあるけれど
基本的には馬を使って畑を耕しているようです。


いつ何がきっかけで人生が180℃ひっくり返るか
わからないものですね。


面白い本でした。おすすめします。


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by starofay | 2016-04-04 12:37 | 読書 | Comments(6)

The Long Good-Bye

The Long Good-bye (Phillip Marlowe)

Raymond Chandler / Penguin



今までハードボイルド私立探偵とかは、
ほとんど興味がなかった蒼い山の主婦です。

でも村上春樹さんが、今まで何回も読み返してきて
好きなあまりに翻訳までしたという本を読んでみました。

レイモンド・チャンドラーの本を読んでみたのは、
今回が始めてです。


いろんな作家が、ハードボイルド私立探偵小説を書いていますが、

チャンドラーの探偵フィリップ・マーロウに勝るキャラクターは、
いないと言われています。

なるほど、読んでみると切れ味の良い会話に
軽快なテンポで話が進んでいくので
楽しんで読めました。


昔のハリウッド映画を観ているような感覚です。

と、思ったらやはり映画が1973年に出ていました。

私が知らないだけだったのですね。

村上春樹さんが翻訳されたのは、こちら

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)

レイモンド・チャンドラー / 早川書房



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by starofay | 2016-03-25 07:38 | 読書 | Comments(5)

Sweet Shop of Dreams

Welcome to Rosie Hopkins' Sweetshop of Dreams

Jenny Colgan / Sphere



最近ですね、
夜あまりよく眠れないのです。

そこで、小難しい文学系の本ではなくて
夜中に軽く読める甘いお菓子のような本を借りてきました。


ロージーは、ロンドンで看護師の補助のような仕事をする31歳。
8年間もボーイフレンドのジェラードと一緒に暮らしているけれど
なかなかプロポーズしてくれない。


そんな彼女の田舎に住む大叔母が、
手術をして退院したは、良いものの、
長年やってきたスイーツ店を切り盛りすることも
できなくなったらしい。

ロージーは、大叔母の店と家を売りに出し、
老人ホームへ引っ越しさせるようにと
母親に頼まれて、仕方がなく大叔母の住む田舎町にたどり着く。


つまらない夏になりそうだと思っていたロージーだが、
着いたとたんに次から次へとハプニングが、、、、


これはあれですね、
映画で言うならロマンティック・コメディーというやつです。


そしてちょっとした Guilty pleasure。

あまり栄養にはならないけれど、
美味しいあまーいお菓子のような本でした。



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by starofay | 2016-02-04 14:58 | 読書 | Comments(5)

Go Set A Watchman

Go Set a Watchman: A Novel by Harper Lee (Trivia-on-Books)



ハーパー・リー作のアラバマ物語は、
日本でも有名な小説・映画ですよね?


ピュリッツァー賞に映画化、
そしてアメリカ文学を代表する作品といわれながら
去年までリーが出版した唯一の小説でした。


この Go Set A Watchman(良心の見張り番を設けよ)は、
アラバマ物語から20年経った続きです。

大人になったジーン・ルイーズ(スカウト)はニューヨークに住んでいるが、
年に一度の里帰りに実家へ帰ってくる。

兄が亡くなり、70代の父親アティカスが
リューマチで苦労している今、
スカウトが都会から引き上げて帰ってくるように
親戚や恋人が強く望んでいる。

結婚をしようか、
メイコムでこれからの人生をずっと過ごすことが
可能であるかどうか、スカウトは迷っている。


そんな中、彼女には神に近い存在であった
父親のアティカスが、完璧な良心の持ち主ではないという
疑惑が彼女を苦しめるようになる。

やがてスカウトは、人種差別に関して父親と対立する。

アティカスが完璧な人間でないことが耐えられず、
スカウトは家族とふるさとを捨てて逃亡しようとするが、、、、、


実はこの小説、リーがアラバマ物語を
書く前に書かれたものらしいです。

そして去年まで失われたと思われた原稿が見つかり、
無事出版となりました。


現代に書かれたものでないのは明らかですが、
1950年代のアメリカ南部の人々の生活を鮮やかに描いています。


和訳版が出版されるのも時間の問題でしょう。





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by starofay | 2016-01-20 20:15 | 読書 | Comments(3)

カズオ イシグロ氏



このブログを8年以上前に始めた時は、
なんとなくブルーマウンテンでの暮らしを
綴ってみようかと思っていました。

それがだんだんとお料理ブログになり、
ここのスーパーで買える材料で
可能なレパートリーをほぼご披露してしまったので
最近は滅多にお料理やお菓子も載せなくなりました。



最近のエントリーを見てみると
子育てと読書がやたら多いですね。

というわけで今日も本についての話です。


カズオ イシグロ氏の本を読まれたことがありますか?


彼の本は多分全て和訳されて
日本で出版されていますよね?



日本人として長崎で生まれていながら
5歳で渡英したイシグロ氏は、
飛び抜けて美しい英語の文章を書きます。


私の場合は、もっと後に日本を出たわけですが、
英語圏で子供時代を過ごしたという点では、
彼を先輩のように感じています。



初めて彼の本を読んだのは、
私がロンドンに住み始めてからでした。

The Remains of the Day

Kazuo Ishiguro / Faber & Faber



日の名残り (ハヤカワepi文庫)

カズオ イシグロ / 早川書房



この本には圧倒されました。


数年後に映画化され、
映画も決して悪くはなかったのですが、
本に描かれたニュアンスを全て
スクリーンで再現するのは無理だったようです。



その後、イシグロ氏が書いた全ての本を読んでいますが、
今読んでいるのはこちら。

The Buried Giant: A novel

Kazuo Ishiguro / Knopf



これは、読んだ人全員が気に入るような本ではないかもしれません。

でも個人的にはとても好きです。


イギリスの古代歴史に興味があるので
アーサー王時代のすぐ後の設定にも
ワクワクしますし、
先日に続いて「消えてしまう記憶」が
テーマの一つなのにもシンクロニシティを感じました。

忘れられた巨人

カズオ イシグロ / 早川書房






本好きの私にとってバイリンガルである最大のメリットは
英語で書かれていて和訳されてない本と
日本語で書かれて英訳されてない本の
両方を読めることだと思っています。


幸いイシグロ氏の本は両方で読めますね004.gif




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by starofay | 2015-11-23 17:35 | 読書 | Comments(8)