永遠の仔を読んで

天童荒太さんの永遠の仔を読んで考えさせられた。

子供を虐待する親がいるのは知っているし、
虐待された子供の傷が簡単には癒えないのも知っているけれど、
やっぱり衝撃的な本だった。
「悼む人」の方がまだ明るくて救いのある本に感じられるくらい。
その分天童さんも少し変わったのかしら。

私は実際に子供の頃に程度の違いはあるけれど虐待を受けた人を数人知っている。
その人達は、やっぱり壊れている。

とてつもなく大きな暗い穴があいている。

安易なセラピーやヒーリングで表面の穴を閉じても、
それが落とし穴になることが少なくない。


女性も壊れるけど、男性の方が周りに与えるダメージが大きいかも。


人は皆、子供時代に受けた傷を引きずって生きている。


モウルの母親みたいに愛して欲しい対象、謝って欲しい対象がぼけてしまったら、結局自分を苦しめているのは自分の中にしかいないことになる。

子供の頃に充分な愛を受けなかった子供は、どうやったら自分を愛せるようになるのだろう。

人間の幸福に不可欠なのは、自己愛・セルフラブだと思う。
これは自分勝手であるとか、うぬぼれとか、ナルシズムとは根本的に違うもの。
自分の存在を肯定し、尊いものとして認知できた時に初めて周りの人間や人類全体をも肯定し、尊いものと感じられるようになるはずだから。

そしてこのセルフラブを育むことが、他の何よりもその人の人生を豊かにするし、
社会への貢献にもなる。

皆がもっと自己を愛することができれば、世の中の問題の大半はなくなるのではないかと思う。

では、どうしたら自己愛を育むことができるのか。

無垢な子供に健全な大人がこれを教えることはそれほど難しいことではないはず。
でも既に壊れてしまった人達は、どうしたら良いのだろうね。


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by starofay | 2010-02-26 07:49 | 読書 | Comments(8)
Commented by miumiu at 2010-02-26 10:01 x
永遠の仔は、以前ドラマ化されたことがあって、母親が絶賛してたし、本も読んでた気がする。
一方、うちの姉は三人兄弟の真ん中であまり愛情をもらえなかったと感じていたのか、今も精神的に落ち着きがないです。
幼少期の子供への関わり方って、本当に大事だなって思う。
あふれるくらいの愛情が必要なのよね。子供も大人も。
そこから自尊心が自然に育まれるんだと思うな。
我が子は愛されてるって、ちゃんと感じてくれてるか気になるわ。
Commented by John.John at 2010-02-26 10:01 x
私も読み終わった後、しばし呆然としたのを覚えています
で、誰かに何かを伝えなきゃ、とジタバタしたり・・・

残念ながら、私には愛を分け与える子供も居なくて
ただ、姉の子供達が、ちゃんと人も自分も愛せるように
育っている事に感謝しています
自己愛が強すぎて、恐ろしくわがままなのが問題だけど・・・

天童さん、永遠の仔以前は、もっともっと暗い作品を書いてました
救いの無い、家族崩壊の作品が多かった
彼も何かを抱えてるのかな。と思っていたけれど
変わってきましたね
次作でどう変わるか、楽しみなんです
Commented by エミリオ at 2010-02-26 14:51 x
虐待って連鎖するって言うもんね。
子供を虐待してる親はほとんどが自分も子供のころに
虐待を受けたことのある人だって。
そうやって大人になった人たちは子供時代の分から
愛情を受けることを遣り直さなくちゃいけないんだって。
それはそれは大変な作業だと思うよね。
Commented by モニ at 2010-02-26 15:57 x
ほんと、やっぱりパンの道は奥が深いねー。

永遠の仔ねぇ、私はなんかあれを読んでから
白あり業者がこわくてしかたなかったよ。

子供ってさ親を選んで生まれてくるわけじゃないから
でも、それは運命だから
できるだけ親のエゴにさらされないで生きて
欲しいと思う。安易ないいかただけれどね。とっても。。
Commented by starofay at 2010-02-26 18:30
miumiuちゃん、
普通の家庭で健全な両親に育てられても子供は傷つくことがあるのだから、子供の精神って本当にセンシティブなんだよね。
やっぱり人間って難しいな。

JJさん、
天童さんも、かなり過酷な重荷を背負って生きているように感じられました。やっぱり若い頃はもっとそうだったんですね。
年を重ねるごとに少しでも作品に救いの兆しがあるということは、彼にとってもヒューマニティにとってもありがたいことですね。
Commented by starofay at 2010-02-26 18:41
エミちゃん、
そうなんだよね。虐待された子供が大人になって同じ罪を重ねる。でも必ずしもそうなるわけじゃない。子供の頃に虐待されたけど、成人してから周りの子供を傷つけない人もいる。でもそういう人は別な形で自分や周りを傷つけたりすることもある。やっぱり人間って複雑。

モニちゃん、
白あり業者関連の何か事件があったの?
親のエゴも恐れも否定的な部分も全て影響を受けない子供はいないものね。やっぱり難しいな。
Commented at 2010-02-27 02:31 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by starofay at 2010-02-27 12:58
鍵コメさん、
そうか、そうだったんだ。
ケースバイケースだよね。
Thank you for sharing.
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